先日、日本経済新聞の朝刊に、「認知症 自宅の売却難題」という記事が出ていました。
この記事は、タイトルの通り、認知症になってしまうと、その方が持っているご自宅の売却が難しくなり、
介護費用の捻出などに、自宅資産売却などの有効活用が出来なくなる可能性がある・・と言う内容でした。
この記事を読んで、以前に相談にいらした方を思い出しました・・
母が認知症かつ、入院に!
相談に見えた方は、50代の男性経営者でした。
当初は、経営されている会社のご相談だったのですが、それがひと段落して、雑談になったときに、
タイトルのような話になりました。
「実は、母が入院することになり、病院で色々と診てもらったら、認知症だ・・と言われまして・・
母は精神障害のある姉と一緒に暮らしていて、自分は時々尋ねる程度で、忘れっぽいなとは
思ったものの、そこまで病状が進んでいると思っていませんでした。
しかも、ここ2-3か月は会社の方が忙しく、母の所に行けないこともあり、全然気が付きませんでした・・」
「父は亡くなっており、実は母と姉に金銭援助を時々していて、これまでは何とか生活できていましたが、
入院して、もしこの後施設にいく・・となると、僕の貯金だけでは足りないので、どうしたものかと・・」
「姉も一人では生活できないので、母が入院となると、うちに引き取る必要もありますし・・」
お母様の個人財産は、配偶者の方から相続したご自宅と、多少の預貯金です。
ご相談の方は、入院費などについても、ある程度お母様の現金で賄って、不足する分をご自身が
捻出するようにしたいと言うご希望でした。
が!!! ここで大きな問題が!!!
お母様は、機械操作が苦手で、余り銀行のATMを使っていらっしゃらず(=窓口でおろしていた)、
カードはご相談の方が一緒に銀行に行って、作った記憶があるものの、探しても見当たらない・・
どこにあるのかを聞いても、ご本人も使ってないし、さっぱり要領を得ない・・・
カードがあって暗証番号を教えてもらい、おろしていいよね?という確認をすれば、代理のような形で
現金引き出しが可能です。
ですが、キャッシュカードがなければ、再作成が必要ですが、それには本人が銀行に行って、再作成の
意思を伝えなければなりません。
認知症で、これから入院もする・・と言う人は、スムーズな再作成は難しいですよね。
結局、どうしたか・・というと、成年後見制度を申し立てることにしました。
ただ、申請したら、即日OK!と言う訳にはいきません。時間がかかります。
その間の入院費等は、ご自身の預貯金から立替える・・ということになりました。
認知症発症前の対策が必要!
この方のように、突然家族が認知症!と言われて、財産管理や処分が困難となると、資金的に厳しい可能性が
出てきます。
このようにならないためには、認知症となる前に、何等かの対策を行っておくことが重要です。
日経新聞の記事にもありましたが、例えば成年後見制度や、家族信託など。
成年後見制度は少し手続きが複雑で、かつこの制度を利用すると、ご本人(後見対象の方)の財産保全を第一に
考えますので、財産を減らすことで税金も抑制しようという節税対策はできなくなります。
そんなことから、今はやっているのは、家族信託の利用です。
色々な内容で信託が可能ですが、例えば自宅などの不動産管理を子供に任せるとか、介護施設に入るときに
子供の判断で、親自宅を売却可能などがあるようです。
家族信託は、司法書士が設定をすることが多いため、報酬はかかりますが、一度ご相談をされてみるというのも、
1つの方法かもしれません。