土地の評価を劇的に下げる方法は?
相続する財産の中で、評価額が相対的に高くなる傾向にあるのは、不動産、特に土地です。
その土地の評価を合法的に下げる方法があれば、当然ながら、財産全体の評価も下がり、相続税も少なくて済みます。
その方法とは?
その1つには、小規模宅地等の特例があります。
小規模宅地の特定なんて、知ってるよ~という方もいらっしゃるかとは思うのですが、意外と落とし穴がありますので、一緒にみていきましょう。
小規模宅地等の特例とは?
相続や遺贈によって「土地」を取得し、その土地が亡くなった方(=被相続人)の自宅となっていたり、事業の用途で使っていた宅地があったときは、その土地の評価額の一定割合を減額することができます。
これは、その土地が亡くなった方の生活の基盤になっていたことや、事業の継続をしやすくするために、多額の相続税がかかると、承継が難しく、手放さざるを得ないということをなくし、遺された人の生活を守るための制度です。
小規模宅地等の特例の要件
以下の項目ごとに、それぞれの要件を満たす必要があります。
また、要件を満たして、小規模宅地の特例を使う場合、評価が減額された結果、相続税の申告が必要なくない範囲の金額になったとしても、相続税の申告は必須です。
1)対象となる宅地の要件
2)適用となる宅地の面積の要件
3)取得する人の要件
4)継続要件の要件
対象となる宅地の要件
対象となる宅地は、以下の4つあり、そのどれかに該当している必要があります。
1.特定居住用宅地等
2.特定事業用宅地等
3.特定同族会社事業用宅地等
4.貸付事業用宅地等
それぞれを見ていきましょう。
1の特定居住用宅地等とは、相続財産の中に住まいとしての家屋が建てられている土地をいいます。ご自宅をお持ちの方は、この特定居住用宅地となる可能性があります。
2の特定事業用宅地地等とは、事業として使っている土地を言います。
3の特定同族会社事業用宅地等とは、要件を満たした一定の法人の事業(貸付事業を除く)として使っていた宅地等を言います。
4の貸付事業用宅地等とは、事業用に使っている宅地のうち、下記事業に該当するものをいい、2の事業用宅地とは相続税法上では、区別されています。
・不動産貸付業
・駐車場業
・自転車駐車場業
適用となる宅地の面積の要件
残念ながら、対象となる宅地のうち、減額の対象となる面積には上限があります。これは、この制度の名前にもあるように、「小規模」な土地に対して、相続税の評価を減額して、保護していこうという制度ですので、広大な土地を持っている場合は、一定以上の面積は対象外なのです。
適用の範囲は「特定居住用宅地等」は330㎡、「特定事業用宅地」は400㎡、「貸付事業用宅地等」については、200㎡までです。この面積を超えた部分は、減額はなく、通常の評価額となります。
取得する人の要件
この制度は、その宅地の使用状況だけでなく、相続する人についても要件を課しています。
1)特定居住用宅地等の場合
この場合は①配偶者、②亡くなった方(被相続人)と同居していた親族、③亡くなった方(被相続人)と別居していた一定の親族であることが必要です。
②は、亡くなられた方と同居していた親族が土地を相続する場合で、③は①や②に該当する人がおらず、また亡くなられた方と同居はしていなかったが、相続開始前3年以内に自分又は自分の配偶者の持ち家に居住した事が無い方を指しています。
2)特定事業用宅地等、貸付事業用宅地等の場合
相続人が親族であることが必要です。
3)特定同族会社事業用宅地等の場合
相続人が同族会社の役員である親族であることが必要です。
継続要件の要件
上記の相続人の要件に当てはまる方であっても、各土地ごとに、継続して相続した宅地を所有する必要があります。継続要件に当てはまる相続人は、小規模宅地の特例を適用して申告をした後、一定期間はその土地を所有しなければなりません。
1)特定居住用宅地等の場合
相続した方が「被相続人と同居していた親族」、「被相続人と別居していた一定の親族」の場合は、相続発生のときから、相続税の申告期限まで引き続きその土地を所有していなければなりません。
2)特定事業用宅地等、貸付事業用宅地等の場合
以下の継続要件を満たす必要があります。
・相続税の申告期限までに、亡くなった方(被相続人)の事業を引き継いでいる。
・相続税の申告期限まで、その宅地を所有している。
・相続税の申告期限まで、事業を営んでいる。
3)特定同族会社事業用宅地等の場合
以下の継続要件を満たす必要があります。
・相続税の申告期限まで、その宅地を所有している。
・相続税の申告期限まで、その同族会社が事業を営んでいる。
小規模宅地は、それだけでぶ厚い書籍が発刊されているくらい、個々の事情で適用が変わってきますので、適用の可否はよくよく見当が必要です。ご自身の宅地が、どのような状態であれば、小規模宅地の要件を満たすのかがよくお分かりにならない・・・という方は、お問い合わせください。