揉めていると小規模宅地特例は使えない?

揉めていると、小規模宅地の特例は使えない?

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はい。その通りです。
前回の記事には、ダイレクトにはこの記載はしていませんでしたが、その通りなのです。

これは、どこから読み取れるのか・・といいますと、「取得する人」の要件のところです。
配偶者だったり、親族だったりとありましたように、取得する人が誰か?が問題になってくるのです。
言い換えると、取得する人が誰か?が重要です。

一方、誰がどの財産を取得するか・・で、相続人の間でもめていて、分割ができていない場合は、小規模宅地が可能となるかもしれない土地を取得する人が決まっていないということです。

そのため、揉めていて遺産分割が決まらず、未分割である場合は、小規模宅地の特例は適用できません。

小規模宅地の特例のポイント

ポイントは、「分割」と「合意」です。 

分割というのは、遺産分割で取得する人が決まっている、もしくは遺言書があり、その遺言書通りにする場合です。

合意というのは、小規模宅地の適用対象地が複数ある場合には、どの土地を優先して小規模宅地の特例を使うかということを、相続人間で決めておくことです。

分割のほうは、前の記事と上記でご理解いただけたと思います。合意のほうは、もう少し詳しく見ていきましょう。

揉めて、小規模宅地が使えない事例

相続人は、子供が3人(長男・次男・三男)です。
亡くなった方は、土地3つ(A土地、B土地、C土地)を持っていましたが、預貯金はあまりありませんでした。
A土地では、長男が建物を建てて、レストランを営んでいます。B土地は、父の自宅で、三男が父の生前から一緒に暮らしており、C土地は賃貸アパートを建てています。
評価では、A土地が一番評価が高く、B・C土地との評価はかなり違っています。

次男・三男はA土地を長男が取得することには納得をしているのですが、評価差額が大きいので、分割でもめています。

土地は、すべて小規模宅地の軽減を受けることができるのですが、遺産分割がまとまらず、申告期限が来てしまいました。。

このような事例では、遺産分割協議書という書類のうえで、誰がどの土地を取得するのが決定していません。そのため、それぞれの取得者の要件を満たすのかどうかの判断ができませんので、いったん減額をしないベースで、相続税額を算出し、納付しなければなりません。
併せて、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておくとよいです。これは、今後3年間で分割ができる予定なので、その際には小規模宅地の減額の権利を使いたいです!ということを、税務署に対して宣言しておく書類です。

申告後に、遺産分割が決まったら?

特例対象となる宅地等が申告期限から3年以内に分割された場合には、遺産分割が行われた日から4か月以内に更正の請求(税額を減額してもらうためにする申請)を行えば、特例の適用が受けられます。
ただし、これは、当初申告期限までに「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出があった場合に限られます。分割見込書を提出していない場合は、3年以内に分割協議が成立しても、更正の請求はできません。

また、申告期限から3年を経過する日においても、まだ相続等の訴えが提起されているといった、やむを得ない事情がある場合には、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事情がある旨の承認申請書」を申告期限後3年を経過する日から2か月以内に提出し、税務署長の承認を受ける必要も出てきます。

このように、遺産を巡ってもめているのは、相続税申告にとっても、不利益なことが多いのです。
そのため、相続人が揉めないように、遺言書を書く・生前贈与をしておくといった対策を早めに行っておくことが重要です。
どのような対策がいいのか、よくわからないという方は、お声掛けください。

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