時々、このようなご相談を受けることがあります。
「今度、マイホームを買う事に決めました。親が退職金をもらったのですが、
当分使わないから、貸してあげる!といわれたんです。これって問題ないですよね?」
前段の部分は、ご自宅購入が多いのですが、離婚の慰謝料や、事業を始める資金など、
色々なバージョンがあります。
また、後段についても、退職金ではなく、そもそも資金的に裕福な方もいらっしゃいます。
親子間などでの貸し借りでの注意点とは?
実は親と子供だけでなく、祖父母と孫、夫と妻など特殊関係者間で金銭の貸し借りをする場合には、
思いがけず贈与税がかかってしまうことがあります。
金銭の貸し借りであることを客観的に証明できないような場合、借りっぱなしで返す意思がないとされ、
実質的には贈与があった・・とわれることがあります。
これは、どんな場合でしょうか。
税法上は、返済期間や利率、毎月の返済額や返済方法が明確ではないと、金銭の貸し借りではなく、
贈与とされることがあります。
利息計算の方法や根拠が曖昧な場合も、同様です。
「あるとき払いの督促なし」や「将来の出世払い」などは、借金としては税法上認められませんので、
注意が必要ですね。
また、借りる人の返済能力をかなり超えている場合、つまりどう見たって、絶対こんな額、
この人返せないでしょ!というような場合、実際に返済している実績を立証できない場合も
贈与とされる可能性があります。
返済をしていても、本人の財産から行っていることが明確ではないとして、贈与とされた事例もあります。
贈与とされないためには?
第三者から借りる場合と同じように、きちんとした契約を行う必要があります。
親族間で、金銭の貸し借りをする場合でも、その借入について、客観的な証拠を揃えておくとよいです。
お金を親族間で貸し借りする場合は、契約書の作成は必須です。
また、単に領収書を残しておくだけでは、ダメです。領収書は、返済をしなくても、その辺の100均で購入した
領収書にサインをすれば、いくらでも作成できてしまいます。
例えば、返済条件に従って、定期的に返済者の銀行口座から課した人の銀行口座に振り込むようにしておけば、
○○銀行の通帳が返済の事実を証明してくれますよね。
客観的証拠と言うのは、どの様に判断されるの?
次の3つがポイントとなります。
その1:金銭消費貸借契約書を作成して、貸付期間、通常の銀行借入利息と同程度の金利、
返済方法を定める。
契約書には、印紙も忘れずに!
その2:借り入れた人の収入から見て、返済可能であるような条件(返済額・返済期限)を定める。
その3:契約で定めた条件通りの返済の事実を裏付ける証拠(例:銀行口座振り込み)を残す。
つまり! 正しく契約して、契約した条件通りに返済し、その証拠を残しておく!ということになりますね。
親族間では、利息を付けるのは他人行儀だと、無利息で金銭を貸し借りすことがあります。
心情的にはわかるのですが、税法ではそういう心の機微には取り合ってくれません。利息に相当する金額が贈与されたものとして、借金をした人に対して、相続税がかかることもあります。
ちなみに、貸した人は、この利息相当金額は、貸した人が生計を一にしている場合以外、雑所得して
確定申告が必要になってきます。
安易に貸し借りする前に、よく注意をしておきたいですね。