先日ご相談に見えた方は、お父様が亡くなり、相続が起きていました。
お母様については前から、何となく物忘れがあるな・・と思っていらしたようですが、
お父様が亡くなってから、その状況がひどくなり、単なる年相応の物忘れではないのではないか・・と
病院に一緒にいった所、認知症と診断されたとのことでした。
この方のように、相続人に認知症の方がいらっしゃる場合、通常の相続と同じでよいのだろうか??
と言う疑問をお持ちの方も入らっしゃるかと思います。
今回は、そんな場合の遺産分割について・・です。
遺産分割協議は、意思能力が必要!
まず、遺言書がない場合で、相続人が複数いる場合は、誰が何をもらうのか?を、みんなで話し合って
決める必要があります。
それを難しく言うと、遺産分割協議といい、その決めた内容の書類を遺産分割協議書と言います。
遺産分割協議は、相続人全員の合意によって成立するものです。
よって、判断することが出来ないとされる程度の認知症の方は、合意をすることが出来ません。
では、認知症になった方以外が、今回のケースで言えば、お母さんは判断が出来ないから、
僕たちで決めよう!は、可能でしょうか?
法律上、相続人「全員」が合意しなければならないのに、お母さんは合意をしていませんので、
無効となってしまいます。
もしかすると、認知症と判断されたが、僕のこともわかるし、そもそも認知症の判断がどうなの?という
レベルでも、ダメなのか??と言う疑問もあるかと思います。
合意が出来ればOKなので、認知症と判断されても、超経度で、その方が内容を理解して、
判断することが十分できると言える場合は、遺産分割協議書に押印等して頂いて大丈夫です。
ただ、相続人間が不仲な場合などで、認知症の方がいると、後であの時やっぱり判断能力はなかった・・とか、
いやいやあったんだ・・と、更にモメルことになりますので、医師に再度程度を確認してもらう、証明書をもらう
などが必要となるケースも出てきますので、注意が必要です。
相続人の中に認知症の方がいる場合にはどうする?
判断する能力は難しいというレベルの認知症の方がいる場合、遺産分割は出来ないのでしょうか?
確かに、現状では難しいのですが、方法はあります。
協議をする前に、家庭裁判所に成年後見人の専任の申し立てをして、選任してもらうと言う方法です。
成年後見人が決まりましたら、その人と分割協議を行う事になります。
成年後見人は誰がなれる?
このケースでは、お母さんから見て、4親等内の親族は可能です。
4親等というと、身近でいくと、孫や、兄弟姉妹、甥・姪などが該当します。
その他、配偶者の孫や兄弟など、結構広い範囲になります。(そういった若干遠い方に、頼めるかどうか別ですが・・)
その他は、弁護士・司法書士、私のような税理士といった法律関連の専門職に頼むということも
考えられます。
ただ、成年後見人は、被後見人(認知症になった方)の財産状況や生活状況を踏まえて、
被後見人にとって一番有利な選択をする必要がありますので、例えば次の相続を見据えた、
今回の相続ではちょっと不利だけど、次回を考えるとこれが良さそう・・といった選択はしないはずです。
(ご本人に一番有利ではないはずなので)
ですので、認知症気味の方がいらっしゃる場合は、事前に遺言書を作成する、必要があれば贈与をしておくなど
節税だけではない、相続の対策をしておいた方が安心です。