こんな場合に相続放棄できる?

先日、ある方から次のようなご相談を受けました。

実家の父は亡くなっていて、母が一人でいる。

少し郊外に先祖から継いだ土地100坪があり、そこにアパート3棟と母が暮らしている家が

建っている。

アパートは築45年で、老朽化していますが、ほぼ満室で入居者があり、母はアパートの

家賃で暮らしています。

借金は無い代わりに、母の預貯金は200万程度で、生命保険や医療保険といったものには、

何も加入していないようです。

 

母も高齢になり、相続を考える年齢ですが、このまま土地を相続してしまったら、

管理や維持費、アパートの築年が経っているので解体するなど、莫大なお金を支出しなければ

ならなくなるように思います。

そのため、相続放棄をした方がよいのでは?と思っていますが、私のような状況でも

相続放棄ができるのでしょうか??

 

 

 

 

 

 

 

 

上記のようなお悩みは、地主の方など財産に占める不動産の割合が高い方によくあります。

まず、ご質問への回答ですが、相続放棄は借金がなくても可能です。

理由を問わず、ご自身が相続を知ったときから、3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の手続きをすれば、

可能となります。

 

やはり相続放棄?

では、この方のケースについて、相続放棄をした方がよいのでしょうか?

相続放棄は、実は回りめぐって自分の所に戻ってきてしまう場合があります。

相続には、相続の順番があります。

第1順位は子供。第2順位は上にいって親。第3順位は横に広がり、亡くなった方の兄弟姉妹です。

子供たちが全員放棄すると、親が相続人なります。親がいない場合は、第3順位の兄弟姉妹となります。

兄弟姉妹でキャッシュリッチな方がいらして、継いでくれれば問題がありませんが、兄弟姉妹も

放棄を希望する場合や、そもそも兄弟姉妹がいない・・と言う場合は、相続人が誰もいなくなります。

そうなると、家庭裁判所で選任された相続財産管理人が、土地を売却するまでの間、固定資産税等の

支払い義務を命じられます。

通常は、相続財産管理人には亡くなった方の一番近い親族の方となりますので、このケースでいえば

ご相談者の方になってしまいます。

そうなると、そもそもの放棄を考えた悩みは解決しないこととなってしまいます。

 

相続税についても考えよう!

この方の場合、土地が1000坪と言うかなり大きい面積のため、路線価自体が低くても、かなりの確率で

何等かの相続税がかかると推測されます。

相続税は、原則としては現金で納付することとなっています。

お母様がそれなりに金融財産をお持ちであれば、そこから相続税を賄うことが可能ですが、

現状の預金が200万円ということは、今後目減りすることを考えると、場合によっては相続税を

現金納付することが出来なくなります。

固定資産税での出費などとは桁違いの支出が必要、となってしまうかもしれません。

ですので、まずこの1000坪の土地は売れそうな土地であるのかどうかを、不動産業者などに

簡易査定を早めにしてもらった方がよいです。

そこで、ある程度売れそうであれば、代表相続人が相続したうえで、土地を売って、

売却代金を法定相続分で分け、そこから相続税を支払うということもできます。

相続の前と後のどちらが税メリットが大きいか・・を考える必要はありそうですが、

選択肢として、相続を待たずにお母様のご存命中に売却するということも可能です。

 

いずれにしても、早めにどのような選択肢があり、どういう方向がご家族にとってよいのか・・を

考えておく必要がありますね。

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