お亡くなりになった後に行う手続きをご存知ですか? その3

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相続放棄

前回、前々回とお亡くなりになった後の手続きについて、お伝えしました。

本日はシリーズパート3として、放棄のお話です。

相続放棄は耳にされたことがあるという方は多いかと思いますが、どのようなことを言うのでしょうか。

相続放棄とは・・ 亡くなった方の財産全てを放棄し、一切の財産を相続しないというものです。

相続放棄は、どのようにするの?

相続開始を知った時から、3か月以内に、亡くなった方の最後の住所を管轄する家庭裁判所に、「相続放棄申述書」をその他必要書類とともに、提出します。

その後、裁判所から照会書というものが送られてきますので、各質問に記載し、裁判所に返送します。場合によっては、照会書の送付ではなく、家庭裁判所に放棄を希望する人が出頭し、直接放棄の意思などについて、質問をされる場合もあります。

その後、問題がなければ、申述書が裁判所で正式に受理され、受理通知が送られてきます。そして、相続放棄の効力が発生します。

文書回答だけで済む場合と、出頭を要請される場合の違いは明確ではないようですが、あまり出頭を要請されることはないようです。ちなみに、私の母方の祖父が亡くなった際には、相続人は祖母と子供3人で、母と叔母は相続放棄をしましたが、その際裁判所から呼び出され、本当に放棄していいのだね??ということを聞かれたと言っていました。 (確認していませんが、恐らく叔母も別途呼ばれたはずです)このように書くと、どれくらい資産家なんだ!!と思われるかもしれませんが、田舎の土地がちょっとある程度で全く資産家ではありませんし、恐らくその税務署の管轄でも特段目立つ相続ではなかったはずです。

なので、考えられるケースとしては、もちろん財産額が何十億といった多額のケース、その他多額ではないが、子供が複数いるうちの一人だけ(昔でいう、家督相続的なイメージでしょうか)が相続する場合など、相続人の間で不利益があると思われるケースなどが考えられるのではないでしょうか。

*相続放棄に必要な書類は、裁判所のHPに記載されています。 (裁判所の該当HPはこちらから

相続放棄の場合の基礎控除

放棄をした場合、初めから相続人とはならなかったとして取り扱われます。そうなると、ちょっと疑問。

初めから相続人でなかったというならば、基礎控除の計算をするうえで、放棄した人は人数に入らないのでは? と思われた方はいらっしゃいませんか。

答えは、放棄しても、基礎控除の人数にはちゃんとカウントされます。 ご心配なく。

事例で見ましょう。 相続人が3人でした。うち、1名が放棄し、相続する人は2名。

この場合でも、3,000万円+600万円×3名=4,800万円が基礎控除金額です。

3,000万円+600万円×2名(放棄していない相続人)の算式は誤りですので、ご注意ください。

経営者の相続の場合の注意点

会社を経営されている方の相続の場合は、特に放棄すべきかどうかを、個人の債務だけでなく、会社の債務までよく確認をする必要があります。

会社が借入をする場合、借入主は法人で、経営者個人ではありません。ですが、経営者が連帯保証人となっていることがよくあります。

相続人がその事実を知らずに、相続放棄をしませんでした。そして、会社が借入金の弁済ができなかった場合、債務者の連帯保証人に金融機関は返済を求めてきます。当初の連帯保証人はすでに死亡していますが、連帯保証は相続されますので、相続人が連帯保証人として、金融機関から請求されてしまいます。

そのため、経営者がお亡くなりになった場合、住宅ローンなどの個人借入だけを確認するのではなく、会社名義の借入金の有無、ある場合には、その連帯保証人になっていないかどうかまでしっかり確認する必要があります。

放棄は、亡くなってから3か月以内です。そのため、経営者がお亡くなりになった場合は、早急に顧問税理士に連絡し、会社の借入金があるのか、ある場合相続放棄をしなくても大丈夫なのかをご相談なさってください。

 

 

 

 

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