遺産分割が未確定だと、相続税の特例は受けられません。
遺産分割が未確定だと、相続税の申告上はソン?という質問についての回答は、「ソンです!」
申告期限までに、遺産分割が確定していない場合、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地の減額措置」などの相続税の特例の適用を受けることができません。
その結果、予想以上の高額の相続税がかかる可能性もあります。
遺産分割が確定するまでは、財産は誰のもの?
相続が起きて遺言書がなければ、遺産分割協議で取得者が決まるまで、原則として「遺産は相続人全員による法定相続分の割合による共有状態」となりますので、法定相続分という持分でみんなで持っているものという位置づけになります。
法定相続分の割合による共有というのは、例えば、相続人が配偶者と子供2人である場合は、 配偶者=1/2 子供はそれぞれ1/4となります。
遺産分割はいつまでにしなくてはいけないの?
法律上、いつまでに遺産分割を決めなければいけないということはありません。 そのため、いつ決めてもいいのです。
ちょっと難しいお話をすると、遺産分割請求権には時効が定められていないため、いつでも何年後であっても、遺産分割は可能なのです。
遺産分割は、相続人の方の全員がその分割内容に賛同する必要があります。そのため、実際に、みんなは分割案に納得していても、たった一人がゴネていたために、10年以上も分割がされていないというケースも残念ながら存在しています。
遺産分割終了しない場合、税務申告はしなくてもいい?
答えは、「ダメ」です。
遺産分割がされているかどうかと、税務申告は別ものです。分割されたあと、申告をして頂ければいいですよ♪とは税務署は言ってくれません。 なぜならば、遺産分割が終わってからで申告はよいとしてしまうと、いつまで経っても税額が決まらず、相続税が徴収できないことになってしまうからです。
相続税法では、相続税の申告期限までに全部・一部の遺産分割が未確定であっても、分割されていない財産は、共同相続人が法定相続分によって、取得したものとして、課税価格を計算し、申告しなければなりません。
分割の有無にかかわらず、お亡くなりになって(=相続発生の日)から、10か月以内に申告書を提出し、税額が発生すれば、相続税の納付が必要です。
相続税申告までのスケジュール
上記のように、お亡くなりになってから、10か月以内に、遺産分割が整わないと、有利な規定の適用がなくなりますので、相続人の方にとって、不利益が生じます。
では、申告までの大なかなスケジュールは、どのようになっているのでしょうか。
◇7日以内 死亡届の提出
下記までに・・・ ・葬儀費用の領収書の保管
・遺言書の有無の確認と相続人の確認
・遺産の概要の把握
◇3か月以内 相続の放棄、限定承認をするかどうかを決める。する場合には、家庭裁判所に申し出る。
この辺りから・・・ 遺産の調査評価、遺産分割協議書の作成、納税方法の検討、納税資金の準備
◇4か月以内 準確定申告(必要があれば)
◇10か月以内 相続税の申告と納税
といったようになります。
遺産分割や財産の把握が順調であれば、納税資金の準備などの時間も多くとれ、相続人の方の負担が軽くなります。
そのため、日ごろから、どのような財産があるのか、どうやって分けるのかといったことを、話し合える家族の関係を築いておくことがとても重要です。
相続が発生したら、財産把握などに不安がある方、是非ご相談ください。 どのような事をしておいたらいいのか等、お伝えすることが可能です。