遺言書があるのに、書き方によっては、遺産分割が必要となるケースが実はあるんです・・
今回は、そんなケースを見ていきましょう。
遺言書では、全ての財産について、取得者を指定する!
相続で有効な遺言書があった場合、基本的には遺言書の内容が優先されます。
ですが、遺言書によって取得者が定まるのは、あくまでも遺言書に記載された財産のみです。
そのため、遺言書があったとしても、例えば、遺言書作成後に購入した不動産や、加入した投資信託などの
財産がある場合、遺言書に記載がない財産となってしまう可能性があります。
また、遺言書に記載がされていたとしても、相続開始までに売却等をしてしまっていて、存在しない
財産については、遺言書によって亡くなった方の意思が示されたとは言えないため、遺言書が無い場合の相続と
同じ扱いになってしまい、遺産分割協議が必要になります。
このようなことを防ぐには、「その他、本遺言に記載のない不動産、動産、有価証券、預貯金等の一切の財産につき、
誰に相続・遺贈するのかを、遺言書に出来る限り、明確に記載する」ことが大切です。
この記載があれば、遺言書に記載がない財産が出てくるといったことはありません。
ただし、大きな財産変動があった場合には、古い遺言書のままだと、遺言書を作成した時点で、意図した遺産の
配分と大きく変わってしまうので、遺言書の書き直しをした方が賢明です。
全財産の○分の○を相続させるは、キケン!
全部の財産について、遺言があるにもかかわらず、遺産部活協議が必要となってしまうこともあります。
例えば、遺言書が「Aに善治さんの2/3を、Bに全財産の1/3をそれぞれ相続させる」というような書き方に
なっていた場合、遺言書だけでは、結局AとBがそれぞれどの不動産や預貯金を取得するのかが、判明しません。
このような場合には、法定相続分等の割合自体は、遺言で変更されたものとして、その変更された指定相続分等に
基づいて、個別に、誰が何を取得するのか・・という協議を改めて行う必要があります。
せっかく、遺言書を作成したにもかかわらず、別途相続人らでの協議が必要になってしまっては、
時間がかかるうえ、かえって紛争の原因になってしまうこともあります。
遺言書では、「Aに甲不動産を、Bに乙不動産を、Cに弊銀行の預金を相続させる」といったように、
出来る限り誰に何を取得させるのか、具体的に記載し、またその記載がもれないようにしましょう。