遺言を書いても、分割協議が必要な場合があるのをご存知ですか?

遺言があるのに、遺産分割が必要?

なんで?と思われた方は、多いですよね。 実は、こういった事もありえるんです。

どのような時に起こり得るのかというと、「包括遺贈」というやり方をした場合です。

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包括遺贈とは?

包括遺贈とは、どのような事を言うのでしょうか。 包括+遺贈ですね。

遺贈のほうから見てみましょう。遺贈とは、遺言で指定した人に財産をあげる事を言います。
次に、包括遺贈とは・・ 遺産の全部又は一部について、長男に「1/2を相続させる」というように、一定割合を示して財産をあげることを約する遺贈のことを言います。

ちなみに、「長男には、文京区小石川☓-☓-☓にある土地および自宅建物を相続させる」というように、具体的に財産を指定して遺贈させる方法は、特定遺贈といいます。
通常は、特定遺贈の方法をもって、遺言を記載することが多いです。

包括遺贈をして、遺産分割が必要な場合とは?

包括遺贈をして、遺産分割が必要となる場合は、どのようなケースが考えられるのかを見ていきましょう。

例えば、相続人が、妻と、子供二人(長男と長女)の3人でした。
財産は、自宅(不動産)、賃貸アパート1棟、預貯金5000万円、有価証券(複数銘柄)1000万円だったとします。

遺言書には、「遺言者は、遺言者の有する全財産について、妻・山田花子(昭和10年10月1日生)に1/2を、長男・山田一郎(昭和35年11月1日生)に1/3を、長女・鈴木雪子(昭和38年12月1日生)に1/6を相続させる」とありました。

この場合、妻が1/2と言われても、どれか一部財産を取って、総財産金額の1/2の割合にすればいいのか、すべての財産について1/2の権利をもらうのか、色々と考えられますね。なぜなら、遺言の中でどの財産をもらえるのかが、指定されていないからです。

包括遺贈には、メリットも。

ここまで見てくると、包括遺贈は使えないではないか!!と思われる方もいらっしゃるかと思います。
でも、メリットもあるんです。

それは何かというと、遺言を書いた後で、財産に変動があると思われる種類のもの、例えば預貯金については、いくら・・と金額を指定するよりも、割合で指定したほうが、遺言者の意思を反映させることができるということです。

例えば・・

不動産を特に持たず、財産が預貯金のみで、遺言を書く時点で1億円でした。ですが、今後有料老人ホームにもお世話になろうかと思っているので、自分が亡くなるときに、1億円が残っているとは思えないけれど、残ったお金については、妻の老後もあるので、8割程度は妻に渡し、残りを子供たちで等分に・・と考えている場合です。

上記のケースで、口座が複数あるので、「A銀行B支店 普通預金 口座番号123456の残高は妻に、D銀行E支店 普通預金 口座番号789100の残高は長安に相続させる」としてしまうと、A銀行に8割程度の預金をしていたとしても、亡くなる前にもし、A銀行からD銀行に資金移動されていたら、妻の分が減ってしまいます。
そのようなことを防ぐ意味では、包括遺贈も有効です。

有意義な遺言を作成するには

ご自身のお持ちの財産種類や、今後どうしていきたいのか、誰にどのように渡したいのかを、よく考え、各財産が包括遺贈と特定遺贈のどちらの書き方のほうがよいのかということを考えて、記載をしていく必要があります。

1つの遺言書の中で、それぞれの財産ごとに、包括遺贈と特定遺贈を使うことは可能です。

もっと詳しくお知りになりたいという方は、お声掛けください。

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