遺言は、家族に思いを残すメッセージ

 

2月のバレンタイン、3月のホワイトデーで、愛を伝える日がありましたが、皆さまはチョコレートをあげたり、もらったり、若しくはお返しを選んだり・・・されましたでしょうか。

先月雪の中、三菱ＵＦＪ信託銀行の信託博物館で開催されていた『遺言と信託』展に行ってきました。心温まる遺言を拝見してきましたので、皆さまにもご紹介したいと思います。

ところで、遺言について考えたことはありますか？

遺言は、サスペンスドラマに出てくるような「争族」を防ぐためのものだと思っていませんか？

遺言は遺書ではありません

「死ぬ直前に書くものだからまだ先の事。自分には関係がない。」とお考えの方も多いと思いますが、遺言は末期に書く「遺書」とは違います。

「いつでも」「何度も」書き換えることができるのです。アメリカやイギリスでは成人になると、多くの人が何度も遺言を書くと言われています。

この『遺言と信託』展では、様々な著名人の遺言が展示されていました。

そこには、それぞれの方が残したメッセージが込められていました。

 

ダイアナ妃の遺言

ダイアナ妃の遺言は、チャールズ皇太子と別居して間もない1993年6月1日に作成されました。

遺産の総額は、離婚したチャールズ皇太子からの慰謝料とその他宝石等の資産を合わせ約37.6億円だったそうです。その内容は、一部財産を執事や名付け親となった12人の子供たちに、残りを二人の王子が25歳になった時に約18億円ずつ分けるというものでした。

遺言には、財産分与以外のことも書かれていました。

当時まだ十代だった二人の王子の教育については、自分の母に相談することなど、最愛の子供たちの将来に関して、父親の好きなようにはさせないと釘もさしていました。また、ダイアナ妃は宝石やドレスを王子の妻が使用することを望んでいました。実際、ウィリアム王子がキャサリン妃に贈った婚約指輪はダイアナ妃が王子に残したものだったそうです。

 

ブリトニー・スピアーズの遺言

世界的な人気の歌姫ブリトニーは、現在存命中ですが、遺書を作成し公表しています。

自分の財産は全て子供達のための信託とし、18歳になるまでは一定額を、その後25歳、35歳と長ずるにつれて金額を上げていくというものです。子供達の将来を見据えた配慮が込められていますね。

 

遺言は何のために作成するのでしょうか？

遺言がないために、親族間で争いが起こることが珍しくありません。遺言はこうした悲劇がおきないように、自分の残した財産をどう扱うかを自分で決め、遺産を巡る争いを事前に防ぐことが最大の目的ですが、それだけではありません。

遺言を書くことは、自分が築いてきたものが何か、それを誰にどう引き継いで欲しいのか、これまでの自分を振り返り、残された人たちにどう生きていって欲しいか、そのためにこれから自分はどう生きていくべきかを考えるよいきっかけとなるのではないでしょうか。

実は遺言には財産分与の内容を書くだけでなく、付記事項と言う欄で自分の思いも伝えることができます。遺言は「家族へのラブレター」と言われる所以ですね。人生の折々に作成してみるのも良いのではないでしょうか。

 

遺言の作成

代表的な遺言の作り方には、自筆証書遺言と公正証書遺言の２つの作成方法があります。

①自筆証書遺言とは、サスペンスドラマなどで、本の裏に亡くなった方が書いたものが見つかるシーンなどもあるように、遺言者が全文、日付及び氏名を自書し、押印する必要があります。

公証人の関与は不要ですが、内容や様式に不備が生じる可能性や偽造等の恐れもあります。

相続開始には「検認手続き」という法的な手続きが必要となります。

②公正証書遺言とは、証人2名の立会いのもと、公証役場の公証人が作成します。

原本は公証役場で保管され、偽造等の恐れがないことから最も有効なものといえます。

 

「遺言を作成しても無効になるのでは・・・どのような内容にしたらよいか分からない…。」

と、ご心配の場合は、専門家に依頼することをお勧めします。

遺言作成は、公証人以外にも、弁護士、司法書士、行政書士、税理士、信託銀行、ファイナンシャルプランナーなどがアドバイスできますが、それぞれメリット、デメリットがあります。

遺産相続で争いが生じると考えられる方は弁護士に、生前からの相続税対策や事業継承もお考えの場合は、税理士にご相談ください。

遺言は、実は資産家や有名人だけが利用するものではありません。当事務所のお客様でも書いていらっしゃる方が沢山います。

お困り事やご興味がございましたら、是非お声がけ下さい。あなたの「ご家族へのラブレター」のお手伝いをさせていただければと思います。